みはら循環器内科

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ビタミンC 前編

こんにちは!院長の佐藤です。

このたび、院長ブログを始めることになりました。これから、皆さんの健康に役立つ情報や日常生活に取り入れやすいヒントをお届けしていきたいと思います。どうぞお楽しみに!

 

「進化に取り残された人間の弱点?ビタミンCが必要な理由」

 

第1回目は、健康や美容のために欠かせない栄養素である「ビタミンC」についてお話します。

 

ビタミンCという名前を聞いたことはあっても、その歴史やエピソード、そして現代の私たちの健康にどのように役立っているのか、どれくらいご存じでしょうか?

実は人間は、自分でビタミンCを作れない数少ない動物の一つ。その事実には、興味深い背景があります。

さあ、ビタミンCの世界を一緒に覗いてみましょう!

                                  

 

「歴史が教えるビタミンC不足の怖さ:壊血病」

16~18世紀、大航海時代の船乗りたちは、しばしば「壊血病」という病気に苦しみました。「壊血病」を発症すると、疲労感、倦怠感、関節や筋肉の痛みが現れます。さらに進行すると、皮膚には点状出血が現れ、歯ぐきからの出血歯が抜け落ちる等の症状がみられるようになります。そして最終的には、心不全や多臓器不全によって命を落とすこともありました。

               

このように壊血病という病気に悩まされていた航海士たちを救ったのがビタミンCでした。当時レモンなどの柑橘類を積み込んだ船の乗組員が壊血病を克服したことで、柑橘類に含まれる成分の重要性が明らかになりました。その栄養素こそが、現在私たちがよく知っている「ビタミンC」です。

 

               

 

人気漫画『ONE PIECE』に、航海士のナミがオレンジの木をサウザンドサニー号に持ち込むエピソードがあります。これは、故郷の思い出を守るためだけでなく、航海中の健康を考慮した意味も込められているのではないかと推測されています。壊血病予防のためのオレンジの木、航海中の健康管理を象徴する存在として描かれているのではないでしょうか。

        

 

尚、ビタミンCの化学名「アスコルビン酸」は、ラテン語で「壊血病を防ぐ酸(a=否定、scorbutus=壊血病)」という意味を持っています。

まさに、壊血病という致命的な病気を防ぐために発見された栄養素なのです。

 

 

「ヤギは10g、人間はゼロ!?ビタミンCが必要なワケ」

 

   100

 

ヤギは10、人間は0。

この数値が何を示しているかわかりますか?

実はこれは、1日あたりの体内で作られるビタミンCの量(グラム)を表しています。

 

ヤギは通常時、体重1kgあたり1日約200~250mgのビタミンCを体内で合成するとされています。日本にいるヤギの体重はおよそ50kg程度が一般的なため、1日で約10g~13gものビタミンCを自ら産生している計算になります。さらに驚くべきことに、重い病気や強いストレスがかかると、その産生量は10倍にも達すると言われています。

動物の多くは、肝臓腎臓でビタミンCを自ら合成することができます。一方で、私たち人間は進化の過程でビタミンCを合成する能力を失いました。そのため、体内のビタミンC濃度を保つには、毎日の食事からビタミンCを摂取することが必要なのです。

 

この事実を初めて知ったとき、私はこう考えました。

 

「人間が病気やストレスに対処するために、まずやるべきことはビタミンCを意識して摂ることではないか?」

 

     

 

ヤギは自らの体内でビタミンCを増産し、病気やストレスに立ち向かっています。一方、ビタミンCを作る能力を持たない私たち人間は、食事から摂取し続けるしかありません。この違いを知ると、ビタミンCの重要性がいっそう実感されますよね。

 

「終わりに:ビタミンCと健康を考える」

さて、今回は壊血病の歴史や、動物と人間のビタミンCにまつわる驚きの違いについてお話ししました。ヤギのように体内でビタミンCを作り出せる動物がいる一方で、私たち人間は食事からしっかり摂取する必要があります。この違いを知ることで、毎日の食事がどれほど健康に直結しているかを改めて感じていただけたのではないでしょうか?

次回は、ビタミンCの具体的な効果や、摂取方法、そして日常で役立つヒントをお伝えします。ビタミンCを上手に取り入れて、健康的な毎日を目指しましょう!