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ビタミンDとがん ~大腸がん編~
~ビタミンDが低いと大腸がんになりやすい?~
以前のブログで、ビタミンDと乳がんの関連について研究をご紹介しました。
今回はその続きとして、ビタミンDと大腸がんについて取り上げます。
大腸がんは男女ともに多く、日本でも増加しているがんの一つです。
「ビタミンDが低いと大腸がんになりやすいのではないか」という点については、これまで多くの研究が行われてきました。

そこで今回は、比較的大規模でよく引用される研究を紹介しながら、ビタミンD濃度と大腸がんの関係を整理してみたいと思います。
※ビタミンD濃度(25(OH)D)については、前回の乳がんの記事で説明していますので、そちらも参考にしてください。
研究の規模と流れ
今回紹介する代表的な研究はこちらです。
McCullough ML, et al. Circulating Vitamin D and Colorectal Cancer Risk. J Natl Cancer Inst. 2019
この研究では、血液中のビタミンD濃度(25(OH)D)を測定したうえで、その後の大腸がん発症との関係を解析しています。
研究の規模は次の通りです。
- 大腸がん症例:5,706人
- 対照:7,107人
- 採血時年齢中央値:60歳(48〜72歳)
参加者ではまず血中ビタミンD濃度を測定し、その後の大腸がん発症を追跡して解析しています。

ビタミンD濃度と大腸がん発症
この研究では、ビタミンD濃度ごとにグループを分けて大腸がん発症率を比較しています。
ビタミンDが12 ng/mL未満の人と比べると、
- 30〜35 ng/mLの人では
→ 大腸がん発症が 約19%少ない(RR 0.81) - 35〜40 ng/mLの人では
→ 大腸がん発症が 約27%少ない(RR 0.73)
という結果でした。
一方で、
- 12 ng/mL未満の人では
20〜25 ng/mL程度の人と比べて
→ 発症が 約31%多い(RR 1.31)
と報告されています。
つまりこの研究では、
ビタミンDが低い人よりも、十分にある人で大腸がんが少ない傾向が示されました。

男女で違いはある?
この研究では男女別の解析も行われています。
その結果、
- 女性では、ビタミンDが高いほど大腸がんが少ない関連が明確
- 男性でも同じ方向の傾向はあるが、統計的にははっきりしない
という結果でした。
もう一つの研究:大腸がん死亡との関係
もう一つ紹介したい研究があります。
Freedman DM, et al. Prospective Study of Serum Vitamin D and Cancer Mortality in the United States. J Natl Cancer Inst. 2007
この研究では、米国の大規模健康調査の参加者を追跡し、血中ビタミンD濃度とがん死亡の関係を調べています。
研究規模は
- 参加者:16,818人
です。
この研究では、
- ビタミンDが32 ng/mL以上の人では
- 20 ng/mL未満の人と比べて
大腸がん死亡が少ない傾向が報告されています。

まとめ
今回紹介した研究では、ビタミンD濃度が低い人では大腸がんが多く、30〜40 ng/mL程度ある人では大腸がんが少ないという結果が報告されています。
さらに、32 ng/mL以上の人で大腸がん死亡が少ない傾向も示されていました。
つまり研究全体をみると、ビタミンD濃度が低い人よりも、ある程度保たれている人で大腸がんの発症や死亡が少ない可能性が示唆されています。
ここまで読むと、
「ではビタミンDを摂取すれば、がんにならないのか。あるいは、がんになっても死亡を防げるのか。」
と考える方も多いと思います。
次回は、この点について私自身の考えを整理してみたいと思います。
函館・みはら循環器内科
院長 佐藤
2026.3.13