- 生活習慣病予防
甘い飲み物の落とし穴
~私が避けているもの:甘い飲み物 ~
外来でよく、「先生、何を食べたらいいですか?」と質問を受けます。
私は、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の患者さんを診察することが多く、
その予防や改善には、食事を含めた生活習慣の見直しが欠かせません。
多くの方が食事内容についてはよく意識されていますが、
実際の外来で感じるのは、飲み物が盲点になっている方がとても多いということです。
スポーツドリンク、加糖コーヒー、甘い缶コーヒー、エナジードリンクなどを、
水分補給のつもりで日常的に飲んでいるケースは少なくありません。
こうした背景から、私がまずお伝えしているのが、
「避けるなら、まず甘い飲み物」という点です。
1. 甘い飲み物に多く含まれるもの
清涼飲料水や加糖飲料の多くには、
- 果糖ブドウ糖液糖
- ぶどう糖果糖液糖
といった液体甘味料が使われています。
これらは主にトウモロコシ由来のデンプンから作られます。
英語では High Fructose Corn Syrup(HFCS) と呼ばれ、
直訳すると「高果糖コーン(トウモロコシ)シロップ」です。
原料となるトウモロコシは、アメリカ産が中心です。
アメリカではトウモロコシの9割以上が遺伝子組み換え品種とされており、
特別な表示がない限り、遺伝子組み換え由来である可能性が高いと考えられます。
「遺伝子組み換えだから直ちに危険」とは考えていませんが、
- 長期的影響が完全に解明されているとは言えないこと
- そもそも代謝的に不利な甘味料であること
この2点から、積極的に摂る理由はないと考えています。

2. 問題の本質は「果糖の摂り方」
果糖については、近年の研究で代謝経路について理解がアップデートされています。
少量であれば、果糖の多くは小腸で代謝され、
必ずしも肝臓に直接大きな負担がかかるわけではありません。
しかし問題になるのは、
- 甘い飲み物
- 果汁ジュース
- エナジードリンク
といった、果糖を液体で一気に摂取する形です。
この場合、
- 中性脂肪の合成が進みやすい
- 脂肪肝を助長しやすい
- インスリン抵抗性を悪化させやすい
といった影響が出やすくなります。
3. 「人工甘味料なら大丈夫?」について
最近は、「砂糖の代わりに人工甘味料なら安心」と考える方も増えています。
しかし人工甘味料についても、
- 腸内環境への影響
- インスリン感受性への影響
- 長期摂取の安全性
など、まだ結論が完全に出ているとは言えません。
現時点で明確な健康被害が証明されているわけではありませんが、
健康のために積極的に摂る必然性もないというのが、
現実的で医学的にも妥当な立ち位置だと考えています。

4. 果物はどう考えるか
果物に含まれる果糖は、適量であれば問題になりにくいとされています。
少量の果糖は小腸で代謝されることも分かってきました。
また果物の摂取は、
- 高血圧
- 心筋梗塞
- 脳卒中
といった心血管疾患のリスク低下と関連するデータも報告されています。
目安としては、
1日1〜2単位(りんご1個、バナナ1本程度)。
※ ジュースは果物とは別扱いです。

まとめ
生活習慣病の予防を考えると、私は、異性化糖や人工甘味料を含む甘い飲み物はなるべく避けたいと考えています。
甘い飲み物を完全にやめる必要はありませんが、
基本は嗜好品として、「たまに楽しむもの」として付き合うのがよいと思います。
~子どもたちの将来を考えて~
私が子どものころ、甘い飲み物は特別なものでした。
今のように安価で、コンビニや自動販売機ですぐに手に入る環境ではなく、
家庭でも日常的に飲むものではなかったように思います。
一方、現代社会では、子どもでも簡単に甘い飲み物を手に取れる時代になりました。便利になった反面、知らないうちに日常化しやすい環境でもあります。
甘い飲み物のような大量の糖質を代謝する際には、エネルギー産生に必要な栄養素であるマグネシウムやビタミンB群も多く使われます。
そのため、甘い飲み物が習慣化すると、これらの栄養素が不足しやすい状態となり、疲れやすさや集中力の低下につながる可能性もあります。
また、異性化糖や人工甘味料のように、長期的な影響についてまだ議論が続いている甘味料を日常的に摂取する習慣は、これから長い人生を歩む子どもたちにとっては、できるだけ避けたいところです。
子どもたちの将来を考えると、
私たち大人が正しい知識を持つことが何より重要だと感じています。

函館・みはら循環器内科
院長 佐藤
2026.2.14